ふたりＧＭの進め方

　二人のＧＭが共同でシナリオを作りますので、やりとりをどういう手段で行うかは非常に重要です。
　ペアシナリオメイクの先達である氷川さんは、オンラインでの文章中心のやりとりでペアシナリオを行っています。
　逆に、同じく先達の壬生夫妻はオフでの会話中心だったようです（そうじゃなかったら、ええと…）。

　丹川は、過去に同人誌作りをメールや掲示板など文章中心で行い、煮詰まってしまった経験がありました。このため「絶対に会話中心」と思っています。丹川とスイレンに関しては、この方法が良かったようです。
　逆に「会話だと気まずい。文章の方が気楽」という人もいるかも知れません。その辺りは、二人に合っている方法を選んでもらうのが良さそうです。

　リプレイ本編では、直接会ってのシナリオ作りと、Skype通話での二つの方法を併用しました。
　これまでのところ、直接会って一緒にシナリオ作りするほうが、テンションも作業効率も良いように感じます。
　ただ、日程がいつもいつも揃う訳ではないので、「基本はSkypeにして予定が合えば直接会う」という形が良いのではないかと思います（まあ遠隔地の相手とペアシナリオメイクするなら、Skypeのみになってしまうでしょうが）。

　同じく重要な事として、「メインとサブを決める」ことをお勧めします。
　シナリオ作りの時間は限られています。必要なことを決めきれない可能性があります。
　特に、お互いの意見がいつも一致するとは限らないので、最終的にどちらの意見が優越するのか、一番最初に決めるようにしています。
　もっとも人によって価値観の差が激しそうなところですので、対等が良いと思うなら、どちらがメインと決めずにシナリオ作りをして意見がまとまらず苦労すれば良いと思います。

　この時、ペアシナリオメイクが初めてなら、「経験の浅い方をメインにする」ことをおススメします。
　と言うのは経験豊富な方がメインになってしまうと、経験浅い方が遠慮して口をはさめない間に、豊富な方がどんどん先に進めてしまい、経験浅いＧＭが見ているだけになってしまう危険性があるからです。
　逆に経験豊富な方がサブだと、シナリオの最終決定は経験の浅い方が行うことになります。
　経験の浅いＧＭが、何か納得せず渋っているようなら、メインＧＭの方は「ここはこういう理由で、こうした方がいいんだよ」とノウハウを説明をするチャンスにもなります。
　余談ながら、丹川がスイレンを相方に指名したのは、遠慮しない娘さんなので、経験差があっても上手く行くだろうと思ったからでもあります（笑）。

　一度ペアシナリオメイクが上手く行ったのならば、後はどちらがメインになっても構わないと思います。
　出来上がったシナリオには、やはりメイン側の色が濃く出るような気がしています（笑）。
　尚、どうしても相手の意見に納得できない時の心の持って行き方としては、氷川さんが「それぞれのバージョンを持てばいい」という良い解決方法を書いています。

　もう一つ大事だと思うのは、「セッションには二人とも参加する」です。
　ペアシナリオメイキングしてもセッションには片方しか参加しない、というやり方をする人たちもいます。
　ただ丹川は、「シナリオ作りの報酬はプレイヤーの表情」という考え方の持ち主であり、かつ「同じ目的のために共闘することで燃える」という原理によってモチベーションアップを図ることも目的にしているためです。
　これも自分達にあった最適な方法を取ってもらえればと思いますが、特段の理由がないようならば二人ともセッションに参加することをおススメします。

　なお丹川の場合、サブマスターはセッションで、茶々入れと敵の一部を担当していました。
　丹川はプレイヤーを見ているのが好きなので問題なかったのですが、人によってはそれでは暇と感じるかも知れません。
　その場合、パーティーに同行する、もしくは頻繁に登場するNPCを一人出す、という方法もあります。
　依頼人だったり、家出した貴族の娘(もちろんトラブルメーカー)だったり、胡散臭い同行者(敵のスパイ)だったり、しゃべる魔剣だったり、PCが拾った猫だったり。
　ネタは色々あると思いますので、面白くなりそうな物を見つけて下さい。

　特にオンラインでペアシナリオメイクをする場合、以下のようなツールがあると便利です。

・Skype

　Skypeはネット経由で電話をかけられるパソコンソフトです。基本的に無料で使えます。(携帯や固定電話などへかけると有料になります)
　利用にはマイクが必要です。千円程度の物で良いのでヘッドセットを買って来た方が良いでしょう（Skypeロゴが入っていないヘッドセットでも利用できます）。

・お絵描きチャットなど

　簡単な絵を描けると、理解が早くなることがあります。
　色々あるかと思いますが、丹川とスイレンはタカミンを利用しています。
　タカミンは専用ソフトが必要なく、一人が簡単な登録でレンタルすれば使用できて手軽です（ただしjavaがインストールされいる必要があります。インストールされていない場合、案内が表示されたはずです）。
　なお、ログや画像はこまめにダウンロードしておきましょう。

・Wiki

　wikiは複数人が書き込みできるウェブページです。
　決定したことを書き込んで行くのに向いています。
　実は今まで使ってないのですが、やっぱりあった方が便利ではないかと思い始めています。
　wikiの利用については氷川さんのサイトの「参考サイト」の項目をご覧ください。
　ただ、専用の記述方式を覚えなくてはなりません。それが大変に感じるのなら、最初は無理に使わなくても良いかも知れません。
　その場合、チャットのログを編集するなどして、シナリオにまとめる事になります。

　いきなり最初からシナリオ作りを始める必要はありません。
　お互いノっていて、「さあ今すぐ作ろうぜ」と言うテンションならばそれでも構いませんが、特に回数を重ねるうちに、どちらかが疲れていたり、気乗りしていなかったりする回が出てきます。
　そんな時は無理に始めず、最近読んだマンガや遊んだゲームの話でもして下さい。
　話しているうちに、徐々にモチベーションが上がって来ますので、そうしたらシナリオ作りにシフトすれば良いでしょう。
　乗り気でない時にモチベーションを回復できる。これが丹川が思う、ペアシナリオメイクの一番の効能です。
　尚、ダベる時間やモチベーションを考えると、「１回あたりの時間は長く、回数は少な目」が理想的でないかと思うのですが、まあ現状、なかなかそう狙い通りには行きませんね。

　氷川さんも書いていますが、相手のアイディアをいきなり否定するのは止めましょう。
　一旦肯定し、良い部分を認めた上で、それでも問題があるなら問題点について話しましょう。その時も、糾弾者になるのではなく、問題の共同解決者というスタンスを基本にして下さい（確かに「今回は」利用できないアイディアというものはありますが、全く無価値なアイディアはそうそう無いものです）。
　逆に問題を自分で発見してしまったアイディアであっても、話してみると解決策が見つかったり、相手の別のアイディアとくっついて面白いネタになることがあります。

　尚、シナリオのアイディアはあまり一人で考え込まず、思い付いたものをとりあえず投げてしまいましょう。
　どうせ二人で作るのですから。詰める必要が出たら、それから一緒に考えればいいのです。